東北からの体験・交流企画 「関西☆なう」

すっかり秋らしくなってきましたね。もうずいぶんと前のことになりますが、、、今年の暑い暑い夏、8/6~10の5日間、東北の被災地・宮城県石巻市東松島市から、障害をもつ子どもさんとその親御さん・5組が大阪に来られました。「関西☆なう」と名付けられたこの体験・交流企画に参加された子どもさんと親御さん、そしてこの企画を中心となってすすめられたボランティア・大薗さんの報告と感想を載せさせていただきます。


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Mさん
  大阪、楽しかった!飛行機、怖かった。また行きたい。

MYさん(Mさんのお母さん)
  親御さんたちともお話ができて、いっぱいパワーをもらいました。
気持ちが萎えると、いつも大阪の事を思い出し、奮起してがんばっています。
貴重な経験をさせてもらい、とても感謝しています。


ONさん(Oさんのお母さん)
  8月の大阪研修プログラムに親子で参加させていただきました。
  今まで本当に小さな世界でしか息子を見ていなかったと考えさせられた5日間でした。
  事業所で働く方たちは、一人一人のこと(思い)を大切にして接してくれていて、
  グループホームも家庭的で驚きました。
  親御さんたちとの交流会でも色々な話が聞けて、私も頑張っていく力をもらいました。
息子と一緒に外出してくださった方、出発のなかまの会の皆さん、そして大薗さん、
本当にお世話になり、ありがとうございました。

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・2012年8月6日(月)から10日(金)にかけ、宮城県石巻市及び東松島市在住の障がい児5名を、夏休みの期間に関西、特に大阪に招き様々な体験や人々との交流を通じ被災地と関西の人々との交流を目指す、「関西☆なう」という企画を行いました。また障がい児の母親も同行し、大阪の地域の中で自立した生活を営む支援をしている福祉事業所の見学や、大阪の障がい者の母親との交流を行う企画も同時並行で行われました。

石巻市東松島市障がい者支援の状況は、主に社会福祉法人を中心とした通所と入所を基本とした支援が中心であり、在宅においての支援が大阪などに比べサービス量が極端に少ない地域です。故に、障がい者の方々の地域での生活を支える基盤は家族介護が基本になります。地域の中で様々な活動をしようにも、家族と一緒でなければ活動がやりづらい地域でもあります。

・今回の企画では、母親も同行していますが、日中活動に母親は参加せず、障がい児と支援者のみでの活動でした。家族の居ない状況、初めての土地、そして初めて出会うボランティア。そのような環境のもと、大阪を中心に奈良や神戸などの外出企画に臨みました。当事者も初めて。支援者も初めて。外出してもお互い戸惑うばかり。しかしそのような環境だからこそお互いが考え、良いことも嫌なことも含め経験するのが今回の企画の意図でもありました。

・そしてこの企画は単に障がい児の体験や経験を獲得するだけではなく、「被災地(被災者)と関西」の人々を繋ぐ意図もありました。2011年3月11日に発生した東日本大震災。実際に現地へボランティアに行く者もあれば、諸事情により行きたいが行けなかった関西の方々も沢山いるように思いました。今回の企画に参加した関西の方々にも被災地の被災者との交流を通じて、今回の震災を風化すること無く、繋がりを持つ機会の提供が出来たと思います。

・今回の企画の日程期間中は天候に恵まれ、晴天が続きました。故に大阪の猛暑で4泊5日を過ごさなければなりませんでした。東北の方にはかなり酷な環境だったと思います。外出企画初日の7日は2班に別れ、それぞれが奈良と神戸に出かけました。猛暑の中を初めての場所を初めて出会ったボランティアとそぞろ歩く障がい児達。自分の特徴を上手く人に伝える事が出来る人もいれば、伝えられない人もいました。しかし、当事者とボランティア双方がお互いを見つめ合い考え合う状況。当事者一人ひとりがどのように感じたかは解りませんが、人と繋がって生きていくといういい意味も悪い意味でも、経験になったのではないのでしょうか。

・8日の外出企画では「USJ」に出かけました。3組に分かれて行動しました。ボランティアと二人で自分の行きたいアトラクションやお買い物が出来た方や、グループで話し合い、そつなく行動できた組、それぞれが自己主張してグループ行動が出来ず、猛暑のなか汗だくになりながらボランティアとやり合った組など、個性豊かにそれぞれの「USJ」の楽しみ方が出来た一日だったと思います。

・9日は3組に別れ外出しました。海遊館や美術館、心斎橋や新世界と大阪の観光スポットを巡る外出になりました。また、大阪で目的のコスプレグッズを買いたいという明確な目的を持ち、しかしグッズが販売しておらずボランティアと時間をオーバーしても大阪のミナミを駆けずり回った当事者もいました。全体的には初めての場所で初めてのボランティアとの外出にも少しづつ馴れ、目的に即した活動が出来ていたように思います。

・外出後は、みんなで銭湯に行きました。汗まみれの体を洗い流した後は、地域の障がい児や支援者の方々との交流会に参加しました。みんなで合同の遊びを楽しんだり、食事会や花火などをして交流を深めました。

・大阪の母親との交流会をヘルプセンター・すきっぷで行いました。場所を変え、居酒屋での食事会でもかなり白熱した話し合いが出来たように思います。大阪の母親たちは、現在から20年以上前に地域の中で様々な試みをして、地域の中で障がい児を自立させてきました。当時は大阪でも福祉が殆ど無く、自らが地域の人々と関わりながら自立を支援する事業所の立ち上げに関わって来ました。そのような母親との交流は、これから東松島市石巻市で生活をされる母親としても参考になったのではないのでしょうか。

・最後ですが、今回の企画を通じて、障がい児の方々にはもっと自分を表現し人々との繋がりを模索しながら地域へ積極的に関わり、やりたい事を実現するきっかけになれたらと思います。また、母親も福祉的な社会資源が乏しい地域で、障がい児たちがこれからの将来、地域の中で自立的な生活を営むことが出来るのか、話し合い、行動していただけたらと思います。

・今回の企画にはたくさんのボランティアが関わってくれました。個々人の名前は書ききれませんが事業所名を記しておきます。「ぷくぷくの会」様 「ゆうのゆう」様 「みんなの労働文化センター」様 「ノーマライゼーション協会」様 「山王こどもセンター」様「コーナス」様 「生野みんなの家」様、個人ボランティアで参加してくれたNさんとKさん。そして、大阪でのコーディネートを担当してくれた「出発のなかまの会」のK
様、どうもありがとうございました。今後とも、被災地での障がい者の支援を一緒に考えていければと思います。