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食と農のプロジェクト ~M農園の改修~

M農園の改修を手がけてくださっている建築家・Yさんからの報告です。


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 大阪市生野区は4軒に1軒が空き家と言われ、空き家・空き地率が非常に高いエリアです。生野区で活動するNPO等が集まって、空き家・空き地を活用し地域の人、高齢者、しょうがい者、こどもたちが集い、楽しむことのできる居場所作りが進んでいます。「M農園の改修」も空き家になっていた元助産院の古民家と裏庭を改修して地域の集いの場と畑にリノベーションするプロジェクトです。

 長年空き家になっていた建物は、雨漏りと屋根瓦が落ちて室内から空が見える状態でした。5月にスタートした改修工事は梅雨までに先行して雨漏りの修理を行いました。腐朽していた屋根野地を取り除き垂木の補強を行い透明のポリカーボネートをトップライトとして取り付けました。これまで空き家で閉じていた空間がトップライトからの太陽の光で内部空間は劇的に明るくなりました。竿縁天井を取り除いた天井裏からは2階を支える鉄骨の骨組みが現れ、2階部分が大規模に改変されていたことが分かりました。屋根瓦も傷んでいるもの、ずれているものを手作業で丁寧に並べなおして雨漏りの修理を行いました。床の腐朽や建具の破損もいたるところで見られ丁寧にレベルを出しながら手作業で修理しています。改修工事の大工仕事は85歳の現役大工のN氏によって行われています。

 内部の修理が終わり大きなワンルームができると、次に道路側の壁を開削して透明ガラスと木製建具を設けて、道路側と室内、裏の畑を繋げる改修を行いました。閉じていた建物が街と一体となり視線が繋がりました。長年閉じていた建物を再び開き修理を施していくと、近所の方々も中を覗き込み、「私はここで産まれたのよ〜」と人々の記憶がよみがえってきます。

 庭の整備や建物の掃除等にはたくさんの方々がボランティアで参加されています。松野ファームの改修はこれからも使われながら続きます。リノベーションという完結したキーワードで終わらない、<renovate+ing>という常に進行形のかたちで多くの方々が関わりを持ち続けて使われながら改修されていく姿をM農園では見られると思います。