誰もがいることができる居場所づくりにご支援ご協力ください

出発のなかまの会は大阪市生野区で30数年知的障害児者とその家族が地域であたりまえに暮らしていける社会づくりをめざして活動してきました。現在、日中活動の場「生活介護」事業所3ヶ所、グループホーム「共同生活援助」事業所6ヶ所、ヘルパー派遣「居宅介護」事業所1ヶ所、子どもの日中活動の場「児童発達支援及び放課後等デイサービス」事業所1ヶ所を運営しています。

 障害者はこれまで偏見差別の中で社会から分離隔離され、施設や精神病院の中に閉じ込められてきました。近年、ノーマライゼーションの考え方が普及し、包括社会をめざす活動が日本社会においても活発に展開されてきています。新たに「障害者総合支援法」「障害者差別解消法」が施行され、社会から誰も排除されることなく一市民として生きることが、基本的人権として認められました。

 しかしながら、現代の急激な社会変化の中で「貧困」「格差」が大きな社会問題となっています。子どもから高齢者まで多くの人が社会の中で難民化され孤立し、排除され、さまざまな生きにくさをかかえたまま日々不安の中できびしい生活を強いられて生きています。

 日本の3分の2が貧困世帯といわれ、その中でも特に子どもの状況は深刻です。次代をになう子どもの6人に1人が貧困の中で育ち、医療・教育・福祉も充分にうけられない実態があり、若者から高齢者までその貧困の負の連鎖がつづいています。

 今こそ、私たちの身近な地域社会の中でさまざまな生きにくさをかかえた人々が安心し、安全で、心地よい居場所を見つけ、共に活動することを通じて共に活かし、共に生きていける社会をつくるための行動をおしすすめることが求められています。

 人はどのような状況の中であれ生きていくためには安心が必要です。自分自身の苦しいこと、つらいことを語ること、表現することが必要です。また、人は子どもであれ高齢者であれ、人生の中でいろいろな不安、恐怖、怒り、悲しみをもつものです。この時、寄り添って受けとめてくれる人、守ってくれる人、話をきいてくれる人など信頼できる人がいれば安全です。さらに自分が落ち着ける環境があれば、しだいに気分がよくなり、自分の興味、関心があることに目が向き、耳を傾け、何かをすることができます。自分の興味、関心を認めてくれる人や場での出会いは、豊かなコミュニケーションをはぐくみ、自己を肯定する源泉であり、自信もわいてきます。そのような居場所を小さくても地域のいろいろな場所につくっていきたいと思います。

 場づくり、人づくり、人と人とが支え支えられる地域づくりにご支援、ご協力ください。

認定NPO法人 出発のなかまの会   月川 至