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『隣る人』上映会報告

5月29日金曜日18時から「松野農園」において、埼玉県にある児童養護施設の日常を8年間密着したドキュメンタリー映画「隣る人」の映画上映会を2部制でおこないました。

 第1部は刀川監督のトーク付上映会で農園がすし詰め状態になるくらいの大盛況でした。地域のさまざまな事業所の方々や遠方から足をのばして来て下さった方もおられました。人が寄り添い、寄り添い続けるとはどういうことか、血のつながりのない大人と子どもが共に生き、本来は親から無条件で与えられるはずの愛情を「親代わり」の職員とのかかわりの中で育んでいく、暮らしを大切にする等たくさんの思いが込められた映画でした。
 
 上映会後の刀川監督のトークでは、撮影に込めた思いや日本社会の現状、過酷な状況に追い込められながら厳しい現実の中で生きている子どもたちへの思い、そして生野の地域で展開しようとしている「地域共生」の試みへの期待等があつく語られました。
 
 20時半からは第1部の熱気を引き継いだカタチで、刀川監督を囲んで軽食を食べながら懇親会の第2部にうつりました。第2部にも30名ほどの方が参加されました。自己紹介も兼ねて参加者ひとり一人が映画の感想等について語りました。「隣る人」をはじめて見た人から複数回見た人もいましたが、みんながそれぞれに「隣る人」に込められたおもいを共感・共有しあっている場になっていたように感じました。
 
 懇親会でのフリートークでも刀川監督の“あつい”思いはつきることがありませんでした。「隣る人」を通して自分の人生や生き方を見つめ直したという監督の思いや参加者からの質問を通して、「隣る人」について人それぞれが自分なりの見かたをしていてそれはそれでいいんだということ、生活に密着していないと撮れない子どもたちの日常が、表情が、言葉が映画にはたくさんつまっていたこと、「隣る人」の児童養護施設の職員のように取り組んでいくためには何が必要なのかという人材育成の話し等々多岐にわたって語り合われました。なかでも刀川監督が何度も繰り返し語っておられた児童養護施設という厳しい環境の中で暮らし続けている子どもたちへのあたたかい“まなざし”というものがいまの社会には欠けているのではないかという言葉が印象的でした。

 地域の中があたたかい“まなざし”で包まれ、誰も排除されることのない誰もが誰かの「隣る人」になりえるのか、そんなことを感じさせてくれた濃密な時間でした。